近代日本を代表する実業家で「鉄道王」と呼ばれた根津嘉一郎(1860~1940)が、昭和初期に故郷の山梨県内の全小学校に贈ったヤマハの約200台のアップライトピアノ。その1台に根津の出身地で大がかりな修繕と調律が施された。誰でも自由に弾けるように展示されている。
根津は東武鉄道(東京)の社長として経営を再建したことなどで知られ、贈ったピアノは「根津ピアノ」と呼ばれる。今回のピアノは最近まで、根津の実家だった根津記念館(山梨市)の倉庫で眠っていた。
その存在に気付いたのが、昨年4月に赴任した佐野正館長(61)だ。鍵盤のふたの内側には、読みにくくなってはいたが「寄贈 根津嘉一郎」と書かれていた。
「眠らせておくのはもったいない」
調べてみると、1933(昭…